となりにトトロ・・・
森が舞台の映画や小説はおおよそ面白い。
あまりに多すぎて挙げたらきりがない。
森で彷徨う。
森になにかいる。
森に住む。
森で狩る。たいていの場合は人を。
自分は冬になると山にある無人の集落の小屋でひとり一泊する。
夜になるとそこにはノイズが一切ない。聴こえるのは木々がこすれあう音と動物のなき声。
そして闇がある。
ランタンの灯りと薪ストーブのぬくもりを頼りに極寒を過ごす。
その晩雪が降ると翌朝さまざまな獣たちの足跡がそこらじゅうに残っている。夜に物音さえしなかったのに。
「海辺のカフカ」は森が舞台でなければ成立しないしトトロは都会に現れない。
見えないものが見えたりするのはそこはかとない闇があるからだ。
小野不由美の「東亰異聞」は明治時代の東京(東亰)が舞台。闇のなかから魑魅魍魎が現れ人を襲う。
街頭や窓明かりがなかったころの東京の夜には森とおなじ闇が存在した。
その闇を人々は畏怖し幽霊や魑魅魍魎を創造していった。
ほんとうはそんなもの存在しない。とまでは言わないが(ほんとうにいないけど)個々の脳内では存在することは否定できない(それを思い込みという)。
森のなかにいると思考は深く潜る。となりにトトロだって現れる。
森が舞台の『ランボー』でスタローンが警察署から脱出し山に逃げ込み森でズタ袋を身にまとい崖から飛び降りて腕の傷を針と糸で縫い合わせ追ってきた警官を一網打尽にしてから野豚を狩り焚火をしながら伊藤ハムみたいにナイフで一口大に切って頬張りつつトラウトマン大佐とトランシーバーで会話する一連はしびれる。
山をおりてM60で町を壊滅させてティーズル保安官を倒すまでがコンパクトにまとまっていてなおしびれる。
要するに『ランボー』は傑作ということだ。