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詩にゆくものへの祈り2

刻の棲家

 

 

 

小さくて軽くて早くて飽きない

 

大きくて重くて遅くていらだつ

 

飽きないけどいくらでもかわりがいる

 

いらだつけどはなれたくない

 

ひとりでも寂しくないからひとりでいい

 

ひとりでは寂しいから誰かを想う

 

寂しくないのにひとりだと知られたくない

 

寂しいから誰かを求めて悲しむ

 

小さくて軽くて早くておいしい

 

大きくて重くて遅くておいしい

 

おなじおいしいなら小さくて軽くて早いほうがいい

 

おなじおいしいなら大きくて重くて遅いほうがいい

 

おなじ寂しいなら小さくて軽くて早いほうがいい

 

おなじ寂しいなら大きくて重くて遅いほうがいい

 

おなじ場所におなじ形の時計がならんでいる

 

どちらもちがう時を刻んでいる

 

構造はおなじ

 

けれど部品が欠損している

 

欠損しているほうが時を早くすすめることができる

 

欠損しているのは歯車なのだがそれがどの分部を動かしているのか忘れてしまった

 

忘れたのはつい最近なのにまったく思い出せない

 

だからそれも忘れよう

 

そうすればほんとうは遅いことに気づかないでいられるから