寓話のままでお願いします

漫画はほとんど読まないが唯一新刊を楽しみにしている漫画がザ・ファブルだ。

数年前出版元の講談社ザ・ファブルの実写化を打診しに行ったことがある。ここには書けないがとある俳優を想定して企画書を持って行った。

ファブルは顔が肝だと思った。漫画では特に表情のない目が印象的だ。くりっと二重まなこでは表現できないと考えた。

コミックの帯に映画化決定の告知でファブル役の俳優を見たとき集客はもちろんだがアクションができることも想定しているのだと思った。だがザ・ファブルの実写化はアクション映画になるはずがない。と思ったが凡庸なアクション映画になっていた。

原作でも警察がまったく介入しないがそれはファブルが秘密裏に仕事をするからで実写版のオープニングの大銃撃戦(あの意味ないグラフィック最悪)や最後のヒロイン奪還シーン(現代のごみ処理場の構造ってあんな感じなのか)のばかみたいな多勢スタントでは「劇中の世界には警察不在なの?」「そうかこの映画はファンタジーなんだな」としか考えられない。

ところどろこ原作を踏襲しているギャグシーンもすべて笑えない。ただしギャグシーンとして撮影していないなら謝りたい。

冗長なアクションシーンのせいで尺の関係上端折った原作での大事なエピソードであるファブルと若頭(カンパニーって)との関係やヒロインがデリヘル嬢にされるまで追い詰められる(あんなことやこんなことしなければならないからヒロイン役の女優には無理だけど)苦悩は薄っぺら。もしかして監視カメラを見破るエピソードを無くしたのも相棒の女役の女優に着替えシーンとかさせられないからバッサリとか。まさかね。

細かいこと言えば原作でファブルが描いたイラストが劇中でも登場するが原作で描かれていないオリジナルのイラストはまったく別の人間が描いているとしか思えないほど種類が変わっていた。そういうのって監督とか気にならないのかな。主演俳優に実際描いてもらうか原作者に依頼すればいいのに。

 

 

漫画はすこぶる面白いのに。

ザ・ファブル(20) (ヤンマガKCスペシャル)

ザ・ファブル(20) (ヤンマガKCスペシャル)

  • 作者:南 勝久
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/12/06
  • メディア: コミック