詩にゆくものへの祈り・・・

盲目の種蒔

 

 

 

コミュニティは自分でえらべない

 

君はそのコミュニティで決められたルールにまずはしたがう

 

やがて別のコミュニティを目の当たりにし君は発見か拒絶かをえらぶことになった

 

発見ならばさらに別のコミュニティを探すし

 

拒絶ならもとのコミュニティのルールにしたがいつづける

 

もとのルールが単純であればあるほどあらたなルールを拒絶してしまう君

 

もとのルールが複雑で難解なほどあらたなルールが気になってしかたない君

 

または最初に教えられたルールが単純な場合には別の難解で複雑なルールを拒絶するともいえる

 

複雑かもしれないし単純かもしれない

 

だからはじめが肝心だ

 

それなのに自分ではえらべない

 

かといって責任がないとはいいきれない

 

その種をまいたのは君ではない

 

その種をまいた責任が君にはある

 

 

 

 

チナスキー好きー

西村賢太の小説は読んでいない。

だが無頼派としてのキャラが好きでウェブ日記を読んだりしていた。

 

映画版『苦役列車』は観た。日記で作者が映画をけんもほろろに斬り捨てた。

絶賛公開期間中なのに。えらい。

自分は20代「苦役列車」の世界を経験した。

日雇い。建設現場で埃のなで働き日銭を稼ぐ。保証も無いのに高所で作業させられた。むろん落ちたら死ぬしそれ以上それ以下はない。

貯金はないし未来もない。将来は漠然と映像の世界に行きたかった。

 

映画ではそんな体のニュアンスな感じの雰囲気を醸し出したかったのだろう。けれど皆無だった。穢れと悪臭がしない。作者がボロカスにいう気持ちもわかる。

 

やがて日雇いから離れて映像の仕事にかかわるがフリーランスのため安定した収入もなく日々飲んだくれてバーで人に絡んではフルボッコにされたりした。

まるでミッキー・ローク主演の『バーフライ』のように。

脚本はチャールズ・ブコウスキー

ブコウスキーはいちばんすきな作家だ。彼こそほんとうの無頼派だと信じている。

 

当時泥酔してはまわりに悪態ついて喧嘩して嫌われて交際していた女性に愛想をつかされそれでも必死で脚本を執筆したり映像編集をこなしていた。

 

いつものように泥酔し渋谷のバーに飛び込みひとりで飲んでいた女性に声をかける。気づけば見知らぬ部屋で起きたら別の見知らぬ女性が顔を覗き込んでいた。逃げるように部屋を出るといつのまにか登戸にいた。

断片的な記憶を頼っても恥の上塗りをしたに過ぎない。

ブコウスキーの分身であるチナスキーみたいだと嗤った。

 

安い脚本料と編集料。家賃さえままならない。けれど酒は飲む。その時期なにひとつうまくいかなかったしいいことなどなかった。けれど最低で最高な日常だった。

 

 ブコウスキーの代表作「町でいちばんの美女」の美女・キャスはいまでいうメンヘラ女なのだが、チナスキーのように酔っぱらって出会いたい女ナンバーワンである。

 

むろん付き合いたくはないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

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君の名は・・・

エンディング・・・

いい腕だ。君の名は?

マーフィー。

からのタイトル。

高らかに鳴るメインテーマ。

そしてエンドロール。

 

脳がしびれた。とはこのことだ。

 

きっかけはその造形だった。

美術系の高校へと進学希望だった自分はあのメタルボディのフォルムに惚れてしまった。

予告編と映画雑誌であつめた情報を脳内でフル拡大。

流線型のイカしたデザイン。太ももから拳銃のギミック。

興奮をおさえながら劇場へ。

ところがである。

 

大画面で繰り広げられる主人公の八つ裂き描写。(腕がモゲたときはたまげた)

改造されて目覚めてからの主観映像。社会風刺CM。ED209重役射殺。犯人股間破壊。ボディがボロボロに壊れていく。工場銃撃戦。オート9による3バースト。コブラ砲。アン・ルイス!ドロドロでヨチヨチからのビチャ!

そしてエンディングでの「(振り返り)マーフィー(にやり)」である。

 

結果その存在はただのグロテスクな鉄の塊であった。

劇中ややあってヘルメットを脱ぐと主人公の素顔がふたたび現れる。なのに見てはいけないものを見てしまった背徳感しかしない。

悲劇で陰惨。だからどんなに活躍しようと事件を解決しようとすこしもカッコよく見えない。

四面楚歌となりのちに理解者を得ても孤独な機械。

本名を名乗る最後だって自我を忘れないための強がりだ。

 

なのにこのカタルシス。

 

 いい映画だ。題名は?

ロボコップ』。

むろん1987年版だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じゆうをわれらに・・・

『ブルーリベンジ』は銃撃をリアルに見せていた。

弾丸が着弾した際の人体破壊描写。
粛々と進行する物語に効果をあげている。
矢が刺さる痛みより散弾のほうが痛くないんだね。主人公は死にぎわにそうのたまう。
 
アメリカ銃社会。報復の連鎖。銃を持つものが勝者という台詞もあってとにかくわかりやすい映画だ。
 
自分がはじめて手に入れた銃はM16だった。小学生。むろんエアガンだがあのときの高揚感は忘れられない。
正直海外旅行先で実銃のM16を撃ったときの興奮など比ではなかった。
 
お前にはこの銃が合う。使い勝手がいい。
主人公に無償で銃を渡した友人はそう言った。
この銃なら確実に人を撃ち殺せるよと。
 
友人は正当防衛さえ成立すれば殺人に躊躇しない。
人を撃ち殺すよろこびをあたえてくれるなら無償で助ける人間ともとれる。
 
物語がはじまってからずっと主人公には死が漂っていた。だからおおよそ90分後には死ぬだろうと。
その通りになった。
 
『LA大捜査線/狼たちの街』では主人公が途中であっさり死んだのには驚いたが。
 
 『ランボー』を観たあと原作「一人だけの軍隊」を読んだ。小説のなかでランボーが死んでしまったことにさして驚かなった。
「一人だけの軍隊」も読んでいる途中から死が漂っていた。映画もはじめはスタローンは死ぬ予定だった。実際に撮影していたが試写の評判が悪く自首するエンディングに差し替えられた。
 
ランボー』でさえ脳内で再編集すれば、はじめからスタローンは死にむかっているようにも見える。
 
死のエンディングだったらあの名曲「It's a long rord」はいまでも心のなかで鳴り響いているだろうか。
 
 
 
 

 

 

 

一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)

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となりにトトロ・・・

森が舞台の映画や小説はおおよそ面白い。

あまりに多すぎて挙げたらきりがない。
ちなみに『ランボー』と大藪春彦の「ヘッドハンター」は別格とする。
 
森で彷徨う。
森になにかいる。
森に住む。
森で狩る。たいていの場合は人を。
 
自分は冬になると山にある無人の集落の小屋でひとり一泊する。
夜になるとそこにはノイズが一切ない。聴こえるのは木々がこすれあう音と動物のなき声。
そして闇がある。
 
ランタンの灯りと薪ストーブのぬくもりを頼りに極寒を過ごす。
その晩雪が降ると翌朝さまざまな獣たちの足跡がそこらじゅうに残っている。夜に物音さえしなかったのに。
 
海辺のカフカ」は森が舞台でなければ成立しないしトトロは都会に現れない。
 
見えないものが見えたりするのはそこはかとない闇があるからだ。
 
小野不由美の「東亰異聞」は明治時代の東京(東亰)が舞台。闇のなかから魑魅魍魎が現れ人を襲う。
街頭や窓明かりがなかったころの東京の夜には森とおなじ闇が存在した。
その闇を人々は畏怖し幽霊や魑魅魍魎を創造していった。
 
ほんとうはそんなもの存在しない。とまでは言わないが(ほんとうにいないけど)個々の脳内では存在することは否定できない(それを思い込みという)。
 
森のなかにいると思考は深く潜る。となりにトトロだって現れる。
 
森が舞台の『ランボー』でスタローンが警察署から脱出し山に逃げ込み森でズタ袋を身にまとい崖から飛び降りて腕の傷を針と糸で縫い合わせ追ってきた警官を一網打尽にしてから野豚を狩り焚火をしながら伊藤ハムみたいにナイフで一口大に切って頬張りつつトラウトマン大佐とトランシーバーで会話する一連はしびれる。
山をおりてM60で町を壊滅させてティーズル保安官を倒すまでがコンパクトにまとまっていてなおしびれる。
 
要するに『ランボー』は傑作ということだ。
 
 
 

 

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ヘッド・ハンター (徳間文庫)

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基礎の充実の上に・・・

ブレードランナー ザ・ファイナルカット』DVDメイキングの未公開映像を観た。

じつはレイチェルのヌードを撮影していたことに衝撃を受けた。

なんてことだデッカードとレイチェルが裸でからんでいる。

 

本編ではデッカードが強く迫ると彼女は少女のように幼く答える。

ヴァージンであるレイチェルはデッカードを怯えながら受け入れキスしながら下にフレームアウト。

エンディングでレイチェルがデッカードについてゆくきっかけとなるシークエンス。

ブレードランナー』をはじめて観たときむろん世界観・映像・物語・登場人物すべてに圧倒された。そのなかで特出して感銘をうけたのは中盤のラブシーンだった。

 

やさしくて儚げで刹那的。

幼かった自分は大人になるとこんな素敵なことができるんだなどと心が豊かになったものだ。

 

未公開映像ではフレームアウトあとレイチェルが胸をさらけ出して結合する。そこでのレイチェルは経験ある大人の女性として演出されていた。

そのころには映像編集を生業としていた自分は脳内で勝手に再編集しヌードシーンをつけ加えた。

が整合性がない。いらないシーンだ。だから本編からカットしたのだろうがメイキングに入れてほしくなかった。というよりもそもそも撮影してほしくなかった。

 

地獄の黙示録』は好きな映画だ。

血迷って特別完全版DVDを購入し早速後悔した。

フランス人妻の誘いやプレイメイトとの宴はまったく必要なかった。

ベトナム戦争の混沌を見せるために地獄めぐりとしてエピソードの羅列を意図し目的地へ向かうコンセプトは素晴らしい。

だが足されたエピソードが牧歌的すぎた。

そして直接的なエロスがそこはかとなく蛇足だった。

 

本来血と暴力とエロスはご飯とみそ汁と焼魚くらい相性がいいはずなのに。

 

ブレードランナー』はナレーションありで『シャイニング』のあまったフィルムをラストにくっつけたバージョンがいちばん好きだ。

 

デッカードはもしかしたらレプリカントかもしれない・・・とかいらない。

 

さらに言うと最近アナウンスされたばかりの続編もいらない。

 

だけど結局劇場へと向かうことになる。

 

 

 

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