まんが道

藤子不二雄の自伝的漫画『まんが道』は愛読書だった。

愛蔵版の分厚い本の頁を何度も捲った。

なかでもコンビがプレッシャーに負けて連載を放り出してしまうエピソードはスリリングだった。

やがてすべての出版社に見限られ挫折を味わったあと再起するカタルシス

コンビで仕事をする人間関係の歪の描写は少々緩いかもしれない。

それでも現代ほどエンターテインメントやメディアが繁栄していなかった当時からすれば余計な情報がないぶんより同じ目的に向かう意志はより強固だったと考えられる。

クリエイティブとはなんたるかをさして理解できない。

しかし『まんが道』はビジネスとなってしまった現実とアイディアを生む苦悩から逃れられないジレンマと戦う漫画家の物語として描き切っていたと思う。

 

バクマン。』の漫画は読んでいない。映画はいまさらながらNETFLIXで鑑賞した。

漫画家とその原作者を目指す高校生それぞれの動機。漫画家は叔父さんが漫画家でその姿がかっこよかったから。原作者は絵が描けないし売れたいからとか。

純粋に漫画が好きだから。漫画を描きたい衝動が溢れている。ようにはとても見えない。

物語の肝である連載を落としそうになる理由が病気って。過去に叔父さんが病気で連載を落とすのを伏線としているがそのチョイスはどうだろう。

なぜか高校生活と両立している(居眠り程度で漫画家との二足の草鞋が可能なら両立といえる)。

バクマン。』は夢見ていた漫画連載がビジネスとなった現実と毎週アイディアを生む苦悩から逃れられないジレンマと戦う漫画家について一切の描写が存在しない。

ただ目立っていたのは漫画連載とライバルとの競争をCG描写で格闘技のように演出した程度だ(しかも長くて後半恥ずかしくなってくるのは少年誌原作だからか)。

ヒロインの存在価値は論外。

 

唯一本棚の背表紙でエンドクレジットを表現したのは素晴らしい。

 

 

愛蔵版 まんが道 (第1巻)

愛蔵版 まんが道 (第1巻)

 

 

 

 

 

 

ドラマ『まんが道』の主題歌

 


竹本孝之 hold your last chance